Mon chat qui dort comme un bebe
2014-11-07


飼い猫と同世代なう、みたいな話をしたばかりなんだけど。
でも私の猫はやはり私の娘。末娘。
いつまでたってもあかんぼのままの、ちっちゃなちっちゃな ma petite jolie fille なのだ。今日も私の膝の上で暖をとる。
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幼い頃娘が(←人間のほう)愛用していた袢纏を猫の布団にしている。私の体温で温まった椅子の上に広げると、そこで丸まって眠りこける。
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ペットホテルでの3泊、あまり眠れなかったのかもしれない。左のケージにぎゃんぎゃんうるさいワン公、右のケージには周囲に色気ふりまくメス猫、向かいにはブサイクで目もあてられないオス猫……たちがほんとうにいたとしても我が愛猫にはきわめてどうでもいいはずだが、我が家でのようには眠れなかっただろう。

少しの気配でもすぐに瞼を開く愛猫だが、つついても耳もとで呼んでも知らん顔で寝ること寝ること。

……可愛い。
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可愛すぎる。
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娘が(←人間のほう)生まれたばかりの頃、産院の個室で、そして帰宅してから寝室で、私は彼女の寝顔を撮り続けた。その頃のアルバムを見ると、ほぼ同じ写真が延々と台紙に連なっている。猿から少しばかり体毛を間引いただけのような、赤くてちっちゃい生き物。一日中ほとんど目を閉じたまま、その瞼をくっとしぼったり、ゆるめたり、口許に笑みを浮かべたり、ヘの字にしたり、すぼめたり、何かを噛むように顎を動かしたり。顔全体を延ばしたり、縮めたり、しかめたり、目尻を下げたり上げたり。私には一秒ごとにその表情が変わって見えた。そして一秒前の表情にはこの先もう二度と出会えないのだ、と追いつめられた気分になって、今しかないこの奇跡の表情を残すのだと次々とシャッターを押した。毎秒、娘は成長している。毎日体重が増え、身長が伸び、耳と鼻をはたらかせ、空気の匂いと風の音、私の匂いと声を覚えていく。私には、その成長は目を瞠る勢いに思え、一日の大半を眠って過ごす娘の寝顔にダイナミックな変化が見てとれたのであった。けれども、その頃撮ったおびただしい写真の数々は、幼い娘の安らかな寝顔のヴァリエーション、というにはあまりにも、ほとんど、同じである。題名をつけるとしたらひとつしかない。「寝る子」。

寝る子。寝子。ねこ。
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私のガラケーの中には、膨大な数の、この手の愛猫の写真が納まっている。私の猫は、初めてウチにやって来た頃、私の布団の中で私の手首に小さな顎を乗せて眠った。知らない世界へ来ておびえていたが、寒さには勝てず(冬だった)温もりを求めて布団に潜り込んできた。きゅっと体を縮めて、赤ん坊のくせに、一分の隙もない様子で、しかし温もりに気をゆるして、くうくうと眠った。


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