L'Ecosse
2014-09-29


先週からトンテンカンカンと工事をしている我が家である。そのためにほぼ物置エリアになっていた場所を空っぽにするため、今月、娘が発った11日の翌日からただひたすらモノを引っぱり出し、仕分けしては捨て、捨てては掃除し、を繰り返していたのである。おおかた捨てればいいものだったが、捨てられないものもある。親族の写真とか、ね。たとえば。還暦を迎えた従姉妹の結婚式の写真とか(笑)、うわー若いー可愛いー、と母と騒いで時間が過ぎたりも、する。

そしてこんなものも発見。5年前に消費期限を過ぎていたカンパン。
をををっ 災害の備えって何ですか?状態の我が家にも非常食なるものがあったのだ! そういえば私の父は熱心な消防団員だったので、消化器はもちろん常備していたし、非常時持ち出し袋(っていうんだっけ)みたいなもんもあった気がする。今回発見しなかったけど。あっそうか、きっと前に古いものを片づけた時に、汚い袋は捨てちゃって食糧だけは取っといたわけだ(笑)。だからカンパンの缶だけがぽつんと。
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折しも世間ではスコットランドの独立をかけた国民投票の話題が沸騰しており、私は、20年以上前の夏、フランスの夏期講座で同じクラスになったエコスの女の子を思い出していた。スコットランドをフランス語でいうとエコスなの。授業の最初の日、机が隣り合わせだった私たちはどちらからともなく話しかけ、自己紹介をした。クラスではひとりずつ起立して順番に自己紹介していたが、それより早く私たちは互いの名前と国籍を確認し合った。
「私はチョーコ。ジャポネーズよ」
「私はエリス。エコセーズよ」
「エコセーズ?」
「そう、エコスから来たの。エコスってわかる?」
「ごめん、わからない。どこ?」
「Scotland」
「ああ!」

私は若い頃からケルト文化に興味があり、ウエールズの作家を愛読していた時期もあったので、UKが四つの国家の集合体で、イギリスという名称がイングランドを語源としているにすぎないことを基礎知識として知っていた。ただ、フランス語ではイングランドをアングレッテールというが他の国はどうなのか、その単語の知識がなかった。
エリスが毅然と「私はエコセーズ」と言ったことに、だから違和感は覚えなかった。彼らにとって、自分の出身はそういうふうに表現するものであるのだ。スコットランドはエコスというのね、ひとつ単語を覚えたわ。私がそういうとエリスはクラスの中の男の子ひとりを指して、「あの子はアングレ(イングランド人)よ」と言った。そのとおり、彼は自己紹介でJe suis anglais.と拙い仏語で言い、料理人を目指していますという意味のことを英仏語チャンポンで言ったので教師から「英語禁止!」とたしなめられていた。
「知ってる子なの?」
「授業の前に少し会話したの」
「それで、僕はアングレだって?」
「ううん、でもわかるわよ、ほら、英語がなまってるもん」
彼女の言葉に思わず笑った。スコットランド人からすれば、イングランド人の話す英語は「なまっている」のだ。


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[むかしばなし]

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