2014-09-29
さぞかし、スコットランド人は独立意識が高いのだろう。ずっとそう思い続けていたので、いよいよ国民投票という段階にきて独立反対派が半数を占めるとの報道にたいへん意外な気がした。エリスは「Yes」に投票したのだろうか。
……というようなことをつらつら思い巡らしていた時に、このカンパンは見つかったのである。で、カンパンの缶をくるりとひとまわりしてびっくり。
な、なぜカンパンにエコセ(スコットランド人)が! しかもこのタイミングで!(いやこのタイミングはウチの事情だけれども)
で、ちょっくら調べてみると、何でもご存じのかたはいるものである。三立製菓の弁をどこかから拝借されたのか、次のような記載が見つかった。
********************************
カンパンはもともと軍用の携行食として開発されたものです。
(起源は江戸時代らしいです)
その様な商品のためキャラクターは兵隊をモチーフとして誕生したそうです。
ただ、カンパンには兵隊さんそのものというわけではなく『武器を持たずに戦地へ赴き士気を高める軍楽隊であるスコットランドのバグパイパー』を採用しました。
********************************
バグパイプは戦意高揚のための楽器だったのか……。
エリスと出会ったのは1991年の7月、グルノーブルだった。同じ年の10月、モンペリエに移った私は、とあるご縁で足の不自由な老婦人のお相手を週に一度つとめることになり、ある日、その婦人から映画鑑賞を誘われた。それはいつもの訪問日ではない、いわば臨時召集というか番外編だった。どちらかというとそういうのは勘弁してほしいな〓という気がしないではなかったのだが、つねづね映画が大好きだと老婦人にも言ってあったので、観賞後の昼食まで御馳走になれるとあっては断れるはずもないのであった。また、その映画というのは普通の映画館に行くんではなくて、上映後に監督の講演もついているという、事前申込みの必要なスペシャルな上映会であった。老婦人は二人分、申し込んでおいてくれたのだった。ますます断るわけにはいかないのであった。
その映画は、スコットランドのバグパイパーを追いかけたドキュメンタリーだった。監督はカナダ人で、ケベックの人だった。ご存じのとおり、ケベックはフランス語圏で、カナダからの独立が取り沙汰されて幾年月、である。『イエスタディ』という映画をご存じか。30年以上前のこの映画のヒロインはモントリオールの大学生で、その兄はケベック独立運動に身を投じ過激派活動をしていた……とこの素晴しい映画については話が混乱するので今は措くが、この『イエスタディ』を観た時からケベックの人というのは私の中で少々特別な存在だった。老婦人から「監督はケベコワ(ケベック人)なのよ」と聞かされ、最初は億劫に感じていた映画のお伴も、かなり楽しみになっていたのであった。
たぶん、そのケベック人監督は、カナダにおけるケベック人として、グレートブリテンにおけるスコットランドにシンパシーを感じていたのだろう。
たぶん、映画は美しいスコットランドの風景と、ときに勇壮ときにもの悲しいバグパイプの音色を背景に、民族の誇りや文化継承の重要さを語る内容だったのだろう。
たぶん、たぶん、と連発するのは、はっきりゆって、映画も講演もチンプンカンプンで全然理解できなかったからなのだ。
セ記事を書く