『ユリイカ 詩と批評』2013年10月号
特集 武田百合子 歩く、食べる、書く
青土社
ものすごく、久しぶりにウィングス京都ヘ行った。去年、アーサー・ビナートの講演を聴きに来て以来だろうか。公的イベントはしょっちゅうあり、市の仕事で取材に来たことも過去にはある。そのほかには、お気に入りのバンドがクリスマスライヴをしたことがあって、1500円払って聴きに来たっけ。そんなわけでふだんはまったく用事がない場所なんだが、しかし、けっこう使えるよ、という情報をくれたのは実は娘だった。予約の入っていないスペースを、自習室として開放してくれるらしい。知っている人がいるとつい喋ってしまう、パソコンがあるとついユーチューブを開けてしまう、お菓子があるとすぐ食べてしまう、の「やってはいけないことを全然守れないで」賞を受賞してばかりの娘には、恰好の勉強部屋だ。同じような「ビョーキ」の学生たちが、チラ、ホラときて、カリカリと、あるいはぼーっと(笑)勉強していくらしい。ウィングスの図書室では、ほかの公立図書館と同様、「学校の試験勉強のため」に机と椅子とを貸してはもらえないので、調べものは調べもので別途しなくてはならない。ウィングス京都の図書室は、学生が調べものをするほどには蔵書はない。フェミニズムや女性問題を扱うなら別だが。しかし、その分コンパクトで、探しやすく整理されていることに今回初めて気がついた。「図書室は、リニューアルしたんです」とカウンターの人の言。そうなんだ。以前は書架を覗こうともしなかったのでどんなだったかわからないし比べようもないけど、貸し出し制限が5冊というのも、つい借り過ぎて、貸し出し期間中本に没頭してほかに何もできなくなるという事態に陥りがちな私にはちょうどいい。
おすすめの本のラックに、10月号の「ユリイカ」が載っていた。
特集・武田百合子だって。
ユリイカなんて気が向いたときにしか手にとらないから、武田百合子を特集していたなんて、知らなかったよ。知っていて、先にこの特集を読んでいたら、前に言及した2冊のエッセイ集を、私は買っただろうか。買わなかった気がする(笑)。
いろいろな人が武田百合子について書いている。多くは『富士日記』について行を割いている。『日々雑記』についても、多い。そっか。ではいずれこの2冊も読むことにしよう。
このユリイカを借りて、武田百合子特集をひととおりぱらぱらめくったあと、いちばん気になったのは、実は巻頭にあった詩人・中村稔さんの「人生に関する断章」という連載だ。この号のタイトルは「ミュージカル『レ・ミゼラブル』について」。
たしか最近、米映画でリメイクが行われたよね、これ? あの『プラダという名の悪魔』という映画に出てた、メリル・ストリープにいじめられる女子新入社員役の口の大きな女優がファンテーヌを演じていた、と記憶している。映画としての評価はどうだったのか知らないけど、DVDレンタルで借りて、CGを駆使したつくりがつくりものっぽくて(いや、映画はつくりものなんだけどさ)、とってつけたようなパリ・コミューンのシーンも学芸会みたいで、ちょっとな、うーん、みんなよく歌って頑張っているけど(それはほんと)全体としてはいまひとつ、という感想を持ったのだったが。
セ
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