Couturiere tu dors?
2012-11-12


使い始めに、つま先に違和感を感じないだろうかと少し気がかりだが娘は「そんなんすぐにたいらになるわ」という。ならいいけど。少しでも長持ちしてくれれば毎夜毎夜、針と糸と硬いシューズと格闘しなくても、3晩に1晩、くらいで済む(笑)。

ちなみに、革を貼らないと、つま先のサテン布の損傷が激しく、つま先そのものを立ち潰す前に不細工な状態になる。
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以前は、こんなふうになりかけたら接着剤で貼っていた。もちろん、それは急場しのぎだ。だから本番までの日数を数えながら、致命的な状態にならないことを祈りつつ、ペロリンとめくれた布にせっせと布専用瞬間強力接着剤を塗る。
もちろん、革を貼るようになったからといってこの作業が免除されるわけではない。寿命が近づくと、すり減った革は布よりも薄くなってぺろんぺろん、しなやかさがなくなってぱりぱり。それでも、「このシューズで舞台に立つ」と決めたシューズの場合は、無残なつま先を手当てして何とか延命を図るのである。

そもそも、縫うだけでは、ない。
新しいシューズを買うと、中にニスを流し込んでまず内側からつま先を硬く補強する。以前はこれだけをしていたが、革を貼るようになったので、最初に革貼りをする。というのも、革を貼る接着剤が完全に乾くのに三日を要するからだ。ニスは乾くのに丸一日かかる。したがって:
1)シューズ、革、リボン、ゴムを揃える。
2)シューズのつま先と、革の全面に専用接着剤を塗り、10分置く。
3)生渇きになったところで貼り合わせて、(あれば)木槌などで(私はないのでジャムの瓶の底で)押さえつけるように叩く。かなり強く叩く。やめてえっっというシューズと革の悲鳴が聞こえるくらい叩いてしっかり貼りつける。
4)一日放置。
5)内側にニスを流し込む。ポワントハードナーという名前で売られている、シューズ専用のニス。ティースプーン1杯くらいを、シューズの外側に付着しないよう気をつけて中に垂らし、まんべんなく行き渡らせる。
6)ニスが乾くのに丸一日かかるので、また放置。
7)翌日、ニスがからからに乾いていたら、また流し込む。
8)ニスの流し込みを三回(つまり三日)繰り返す。この頃にはつま先の革の接着剤も乾いて強固に貼りついている。
9)革の周囲をかがる。両足の内側を決め、内側のみ往復かがる。そのあと革の周囲を一周する。
10)リボンを長さに切り、ほつれ止めのために端をライターで溶かす。
11)位置を決めてかかと側にリボンとゴムを縫いつける。

1)から8)までで最短でも4日かかるのだが、じつは9)から11)の工程で1週間以上かかる。だって、毎晩疲労困憊してるから、ひと針も縫えないこともあるんだよねー
それにさー、雑巾縫うのとはわけが違うし。
だから新品を買ってから娘に渡すのに20日くらいかかったこともあった(笑)。

さてさて、昨日は友達とシャガールを観にいった。
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たしかニースかどこか、南仏の都市にシャガールの美術館がある。建物じゅう、シャガール香がぷんぷんしていた。シャガール香って変な形容だな。つまりシャガールってほかの画家や芸術家からは感じない、フロリミティックな「匂い」を感じるのだ。もともと、シャガールは嫌いではなかったがべつに好きでもなかった。でもその南仏の美術館を訪れて、シャガールっていいなあ、としみじみ思った記憶がある。ま、「作家の名を冠した美術館」だから、その作家の良さが最大限発揮されるようにつくらないと意味がない。アンティーブのピカソ美術館も、マントンのコクトー美術館も、アルビのロートレック美術館も、パリのポンピドゥーセンター横のブランクーシのアトリエも、訪問すれば必ずその作家の虜になるように、構成されている。

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[どうらく]

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