ハイチ ――ちょっとそこの君、忘れてたでしょ。
2010-03-11


いっときぬくぬくぬくと気持ち悪いくらい暖かくなって、ホラ来たぞって感じで花粉が飛び始めた。ら、目がしょぼしょぼしてったくもおおおお、何も飛ばなくても疲れ目だってのに、やめてよ。という日々が続いたが、ここ数日の寒波でさすがの杉も開花のタイミングが狂わされているのかそんなに花粉を飛ばしていないようである。一昨年あたりから私は花粉症の症状の出かたが劇的に変わっていて、とりあえず杉花粉に関しては、鼻から眼へと、まるで奴らが標的を変えたかのように、ダイナミックに移行している。檜のピークになるとまた事情は違うけど。

そんなわけで相変わらずしょぼしょぼしている目だけど、ちょっとかゆみや異物感や重みはましなのである。寒いせいである。寒さ万歳。

先日チリで地震があった。そのせいで津波が来る!というニュースが世界を駆け巡った。ちょうど例のダリ本の書評が新聞に載った日の前夜である。翌日の日曜、私は娘のバレエ教室のリハーサルを、夕方見に行った。ママフレンズたちと発表会当日の役割分担や段取りを話し合うためもあったので、リハが一段落したときに集まって立ち話をしつつメンバーが揃うのを待っていた。で、あ、そーだ朝日買わなくちゃと思い出し、近くのコンビニに走って朝日新聞を買いにいった。
教室に戻るとママフレンズのひとりが「津波、津波はどうなった?」と私の新聞を見て叫んだ。
へ? 津波?
そのとき時刻はもう5時か6時だったので、津波が予報された時刻はとっくに過ぎていたし、何のニュースも聞かなかったから、私はとっくに津波の危機は去ったと思っていた。が、そのママフレンドは「我が家の一大事」とでもいうように興奮して津波津波と繰り返す。

古来天災に悩まされた日本列島は、十数時間後に3メートルと予測された津波に対して打つ手がないほど、ナイーヴではないはずだ。30分後に10メートルといわれたらそりゃ慌てる。被害の大きかった過去の災害は予測不可能なほど突発的であったり、予想を遥かに超えて大規模だったりしたためにそのような事態を招いたが、この国では政治家も官僚もアホだが庶民は知恵者であるから備えは万全であっただろう、いくらなんでも。
と、思っていたので、また内陸住民の気楽さも手伝って、津波のことなんかすっかり頭から消えていた。親戚とか実家とか友人が沿岸部に住んでいたらまた意識のしかたも違ったであろう。例のママフレンドにもそんな事情があるのかもしれない。と思ったがスルーして、新聞の中面を開いてダリ書評をママフレンズに見せ、さんざん宣伝した私であった。


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ヒラリー・クリントン&ルネ・ガルシア・プレヴァル
Le 16 janvier 2010 a Port-au-Prince. AFP/Nicholas Kamm



で、ちょっと、そこの君。忘れてたでしょう、ハイチを。
は、はい、先生。忘れてました。

実はチリ地震の前までは覚えていたのである。
購読しているあるメルマガからたいへん有意義な記事が配信されたということもあったし。

以前ハイチについてブログに書いたとき、さくららさんという方が、ハイチ情報を求めてたどり着いてくださった。あれ以降、さくららさんはハイチについて、私のぐだぐだくだまき文ではなく、まともで正しい情報を得られただろうか。ちょっと心配だった。

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