モーツァルトが考案したと伝わる黒鍵と白鍵を逆にしたピアノ。ピアニストの指を美しく見せるためだとか。
そのときからまた、何年も何年も経った。最近初めて知ったのだが、小松左京が本作を執筆したのは1964年だそうだ。誰かさんの生まれ年じゃないか(笑)。本作が書かれてからいくつもの年月が流れて、神戸が震災に見舞われ、その記憶も褪せないうちに東北が震災に見舞われた。小松左京は『日本沈没』という作品も書いている(もちろん私は読んでいないが)。描かれてきたのはあくまで虚構だったはずだが、確実に、この国は、沈もうとしている。ただ、日本が沈んで、世界中が核に汚染されても、生き残りたちがこの星を復活させることだろう。本作のほうはそういうふうに希望を持たせる内容だったと覚えている。
最近読み直したわけでもないのだが、神戸へ久しぶりに出向いて、若い時に観たさまざまな観光名所を娘とともに再び訪ねて、なぜか小松左京と『復活の日』を思い出したのである。
どこかな? 異国情緒が売りの神戸だけど、ここだけ見るとほんとに日本じゃないみたい。私はマントンを思い出したよ。ああ、古い記憶。