《毎日、私をおそってくる死の恐れを克服する時は
私は命の限りの心をしづめて
芸術へのあこがれを見いだすのだった》
「しはんぜくち」ではなくて筑前橋という橋の名がひらがなで書いてあるだけである。
《人の世に生まれいでた時の感動が
私の人生を新しい創造のあらしをもって再生するのだった》
橋を渡り過ぎると美術館のエントランスが見えてくる。
《わたしは生きてゆくことに
深く打たれ、心打たれ》
展示作品は、ごく一部、撮影可能だった。
《私は死の憂鬱を乗り越えて》
シンデレラが中から降りてきそうなかぼちゃ。
《私は生きたい、心の限りも
芸術にかがやいた火をつけて
命の限り、無限の生と死のかがやきをもって
200年も500年も生きながらえて
平和と人間愛の行き着く所への不滅の志をもって
命の限り、たたかっていきたい》
作家自身による自作品へのらくがき。作家に、似ている。200年も500年も、生きながらえてやるわよという決意が見えるらくがき。
《そして、地球の人々に告ぐ
未来は原爆や戦争をやめて
かがやいた命を
永遠の永遠の永遠に
私の精魂込めた芸術をぜひ見てほしい》
地球の人々に告ぐ、なんてメッセージはさ、60年画業を続けている人だからこそいえる台詞だよね。インタビューの中で「私はウォーホルやピカソを超えたいの」と言っていた。何をもって超えるというのかは時代が決めていくだろうけれど、10代、20代の時と同じエネルギーで80代の今も愛と死と生をテーマに描き続けることじたい稀有である。地球の人々に告ぐ。彼女にしか言えないよ。
《あなたたちと一緒に宇宙にむかって
心から人間讃美をうたい上げよう》
《 》内は、草間彌生『永遠の永遠の永遠』から抜粋。