家事も子育ても、ついでにゆーと仕事も日常的過ぎる。やっぱり村上春樹は偉大なんかいなと考え込んだの巻
2009-07-30


『みんな一緒にバギーに乗って』
川端 裕人 著
光文社(2005年)

『てのひらの中の宇宙』
川端 裕人 著
角川書店(2006年)

『桜川ピクニック』
川端 裕人 著
文藝春秋(2007年)


まとめちゃってごめんなさい、川端さん(笑)

さなぎの友達で頑張る中学生の鏡・さくらちゃんにプレゼントした『14歳の本棚 部活学園編』の中にあった『決戦は金曜日』を書いた川西蘭が気に入って、図書館書架の「か」を探したが川西蘭は見事に一冊もなくて、代わりに、こういう言い方しちゃあ、なんだけど、やたらとあったのが「川端裕人」。

本の作者プロフィールを読むと、お、1964年生まれとある。川西蘭を探すのは次の機会にすることにして、表紙が可愛かった『みんな一緒にバギーに乗って』をまず借りる。

若手男性保育士の話である。悩みながら奮闘する。男性保育士に対する母親たちの目は冷たい。それでも頑張る保育士・竜太。なぜ君は保育士になったんだ。あるとき担当クラスの女児の父親に問い詰められる。「子どもが好きだから、ではだめですか」

竜太はなかなか好感度の高い登場人物である。読んでいてエールを送りたくなる。
竜太と一緒に同年度に着任した同期の新人保育士がほかにもいる。体育会系の竜太に比べ、クールでそつなく仕事をこなす(ように見える)頭脳派の秋月。短大卒の、たいして考えもせず資格をとって保育士になった(ように見える)ルミ。
ほかには先輩保育士(女性)の大沢せんせい、男性保育士の大先輩、元気せんせい。
竜太がいちおう主人公だけど、章によって秋月やルミ、そして大沢せんせいの視点で物語が語られる。こうすることで、保育園というものの現状を広く深く読者に知らしめようとしている。とくにこの舞台は公立保育園なので、規制緩和や一部民営化、延長保育自由化などの波にさらされる姿にリアリティを感じる。私がさなぎを預けていた保育園は民間保育園だったが、自治体の助成を受けていて、保護者の所得によって保育料が変わるという点では公立と同じだし、設立から半世紀近く経っているのでそんなに事情は変わらない。
さなぎが就学するころになってからだけど、男性保育士も登場したし。

若い新米保育士の目、ベテラン保育士の目それぞれの保育園と保育、子どもと保護者の姿がまんべんなく描かれる。私は保育士ではなく保護者としてしか保育園と関わっていないけれど、たいへんリアルによく書けてると思った。それだけに、小説っぽいわくわくどきどき感に欠けるという印象を否めない。ノンフィクションとして出したほうがよかったんじゃないの? と思った。

もう少し川端さんという作家を知りたくなり、『てのひらの中の宇宙』を借りる。2、3日ずれて『桜川ピクニック』も借りた。

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[今の文学]

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