考えるのを止めるな12歳!
2007-10-09



ウチの子もずいぶんな被害にたびたび遭っている。考えるだけしんどいし辛いので、私たちはほとんどなかったことにして過ごしている。でも、ほんとうは徹底的に考えたいのである。ある行動を起こすときの子どもの心理、刃物でノートを切り裂いてやる、と思って実際に実行に移すときの感情、その子の脳裏に去来する黒い影の正体。いくら考えても、わかりっこないだろうが、実際には、考え抜いたことはない。
キレイごとを言うのでも、「ええかっこしい」で言うのでもなく、「そんなこと」をする子どもの心をできることなら救いたい、と思うのである。だが、日々にかまけて後回し先送りうやむやにしている。3年前、教室に畳んであった娘の衣服を鋏でずたずたに切ったるりちゃん(仮名)の心模様を追究するのも、るりちゃんとそのお母さんが大泣きに泣いて謝りに来た風景を思い出すと、できなくなる。考えるのをやめてしまう。

『12歳たちの伝説』を読んだからといって、そうした子どもたちの単純かつ複雑、浅はかかつ深遠な思考回路を理解できるわけではない。しかし、なんというのか、たとえば、いままで気にも留めなかった「物静かなあの子」や、いつも寒いギャグを飛ばしては「無視されているこいつ」の心の中を少し覗けそうな気にさせてくれるのである。
娘が、「あいつは××だから嫌い、口利かない!」なんていうとき、以前は「ああ、そんなやつほっとけえ」とろくに聞かず生返事、生相槌していたが、「ま、そういわずこの次は返事くらいしてやれよ」、などというようになった。それがいいことか悪いことかわからないが、もし、子どもの心が閉ざされているとして、それを開ける鍵はやはり毎日近くにいる子どもたちが持っているのではないか。本書を読んでその思いを強くしたのである。



ちなみに我が家では、夏の終わりから「娘が読書に耽っている」という我が家始まって以来の珍事に騒然となっている。読んでいる本はといえば6年生のくせに低中学年向けの平易なものが中心だ。ま、何でもいいぞ、読め読め!とヨコヤリいれずにほっておいたが、私がえらい勢いで読んだ本書のシリーズにようやく手をつけて深刻な顔をして読んでいる。
よしよし。

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[こども]

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