2010-04-16
今回の和解案受け入れについて、大阪地裁に同様の訴訟を提訴している「水俣病不知火患者会」近畿支部の浦田建国(たてくに)支部長(69)=大阪府岬町=は「和解案受け入れは評価したい。しかし大阪地裁ではまだ和解勧告が出ておらず、国が相手なので油断できない」と話した。
一方、現在も行政上の患者認定を求めて熊本地裁で係争中の川上敏行・水俣病関西訴訟原告団長(85)=東大阪市=は「最高裁判決では患者と認められたが、行政は40年間も放置した。患者と認めてほしいという訴訟を起こした意味を考えると、今回の金銭での和解には割り切れない思いもある」と語った。【日野行介】
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命は、単に各個別の体に宿るものであるというだけではなく、連綿と受け継がれているもの……。そんなこと、理屈でなくわかっていたはずなんですけどね、人は。
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水俣病訴訟和解も…全面解決なお遠く(産経新聞)
3月30日10時44分配信
最大の患者団体「水俣病不知火患者会」と国や熊本県などとの和解協議の基本合意が成立した。昨年成立した未認定患者救済の特措法での救済を合わせると3万5千人以上が対象になるが、患者には「今回の政治解決でもれる人がいる」という不安感は強い。
熊本地裁が示した和解所見によると、対象外の地域に住んでいた場合は、水俣湾や周辺の魚介類を多く食べたと認められなければならない。昭和44年12月以降生まれの原告は水銀値が高濃度だったことを示すデータが必要とされ、被害者が生まれた年代などで「線引き」は生まれる。「今回を逃せば救済されずにもれてしまうのではないか」。患者の一人はこう不安げに話す。
公式確認から半世紀余り。水俣病はこうした「線引き」とそれによる地域の亀裂をうんできた。偏見を恐れて患者として手をあげられなかった人たちもいる。
別の被害者団体「水俣病被害者互助会」は「全面解決にはほど遠い」として裁判での闘争を続ける方針だ。特措法は救済のための資金を確保するため、現在のチッソを患者補償会社と事業会社に分けることを認めており「チッソが逃げてしまう」という反発も強い。
国は「水俣病問題の全面解決に向けて確かな糸口が開かれた」(小沢鋭仁環境相)としており、5月1日には救済をスタートさせるとしているが、全面解決までの課題は大きい。
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補償額が膨らんで経営が危うくなったとき、今から三、四十年くらい前のことですけど、「いっそ倒産してしまって新会社になってしまおう、そうすればもう責任取らなくて済む」という声がチッソさん内部にはあったんですが、そこで地元や県、国がチッソを逃がしてはイカンと頑張って生き延びさせたんですね、投資して。英断でしたね。だって、そうでしょ。薬害エイズのミドリ十字とか、今、影も形もないように見えて実は生き延びているんですが、もう「ミドリ十字」として糾弾されることはないんですもん。
現在のチッソさんの超繁栄振りには、複雑な気分にならずにいられませんけどね。
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